誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
勇気を振り絞って叫ぶと、彼の手が私の肩を強く掴む。

「違う……おまえで、満たしたいんだよ。」

その声は、渇いた獣のように、切実だった。

愛と欲望の狭間で揺れるその目に、私の心はまた軋んでいた。

「俺は男だから……女を抱きたい。」

その言葉に、胸が痛んだ。わかってる。わかってるけど――

「だったら、私じゃなくても……」

視線を逸らしながらそう返すと、桐生部長――隼人さんは私の肩を掴んで、強く揺さぶるように言った。

「違う、紗英を抱きたいんだ。気持ちよくさせたい。体も、心も……俺で満たしてあげたい。」

その言葉に、心が崩れそうになる。

ずるいよ、そんなふうに言われたら……また、すがりたくなるじゃない。

「紗英、俺は君で、本当の愛を知ったんだ。」

真剣な眼差し。震えるような唇が近づいてくる。

――でも。

「人の女になにしてるんですか。」
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