誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
「紗英ちゃん、おめでとう。」

左側の席から、上林さんの声がした。

私が、桐生部長のことで悩んでいた日々。

上林さんが「あなたは幸せになれるわよ」と背中を押してくれた、あの日のことが思い出されて、涙が浮かぶ。

「桐生部長、おめでとうございます。」

今度は右側から、静かな声が聞こえた。

驚いてそっと顔を向けると、一条さんがいた。

落ち着いた表情で、そっと頷いてくれている。

来てくれたんだ。私たちの結婚式に。

胸がじんと熱くなった。

いろんな感情が胸の中をめぐるけれど、私は今、隼人さんのもとへと歩いている。

この道の先に、永遠の誓いが待っている。

そして私は、隼人さんと共に祭壇に立った。

厳かな音楽が響く中、司祭の声が静かに広がる。

「では、誓いの言葉です。桐生隼人さん。あなたは篠原紗英さんを妻とし、病める時も健やかなるときも、富めるときも貧しきときも、
これを愛し、敬い、慰め、助け、命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」
< 281 / 291 >

この作品をシェア

pagetop