誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
翌朝、ふと目を覚ますと、隣に隼人さんの姿がなかった。

「……隼人さん?」

冷えたシーツに触れ、思わずバスローブを羽織って立ち上がる。

静まり返ったスイートルーム。

まだ夢の続きを引きずっているような、ぼんやりとした意識の中、ドアが音を立てて開いた。

「間に合った。」

息を切らしながら、隼人さんが入ってきた。

「どこに行ってたの?」

少し不安げに尋ねると、彼は照れくさそうに笑った。

「コーヒー、買ってきたんだ。」

手に持っていたテイクアウトのカップを、そっと私に差し出す。

「どうして……?」

「映画でさ、こういうシーン見たことあるんだ。好きな人の目覚めに、コーヒーを届けるやつ。」

その言葉に、胸の奥がじんと温かくなった。

「……バカみたいにロマンチストですね。」

「バカでいい。紗英のためなら、何度でも。」

笑い合いながら、私は彼からコーヒーを受け取った。

香ばしい香りが立ちのぼる、幸せな朝だった。
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