誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
それから私達は、実家のある海辺の町に引っ越してきた。

「はーあ。引っ越しってこんなに大変だったかな。」

今までの生活が一変した。

「紗英、今日はお父さんが釣った魚で一杯やろう。」

お父さんは何だかんだ言って、隼人さんのことを大事にしてくれている。

「うん。」

お父さんが作った刺身をテーブルに置くと、隼人さんが後ろから抱きしめた。

「うわっ、びっくりした……」

思わず声が漏れたけれど、隼人さんの腕の中は安心感に満ちていた。

「紗英がここにいてくれて、俺は本当に幸せだよ。」

そう囁かれた声に、胸がじんと熱くなる。

「こっちこそ。毎日が、夢みたい。」

振り返って笑いかけると、隼人さんも優しく微笑んだ。

「おーい、イチャついてないで、酒ついでくれよー!」

台所の方からお父さんの明るい声が飛んでくる。

「はいはい、今行きます!」

私たちは顔を見合わせて笑い、手を取り合って食卓へと向かった。

ここが、私たちの新しい日常。あたたかくて、どこか懐かしい、幸せのかたちだった。
< 291 / 291 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:119

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop