誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
お店の前に着いた瞬間、私は思わず目をぱちくりさせてしまった。

「……すごい。」

まるで映画の中に出てきそうな、重厚な扉と柔らかい灯り。

いかにも“高級レストラン”という風格に、足がすくみそうになる。

「君は、いちいち感動するな。」

桐生部長が隣で小さく笑った。

「だって……この前の定食屋とは、えらい違いじゃないですか。」

「どっちもいい店だよ。」

さらりと言うその余裕が、なんだか悔しい。

中に入ると、黒服のウェイターがすぐに気づいて、丁寧に頭を下げた。

「桐生様、いつものコースでよろしいですか?」

「――ああ。」

短く返したその言葉に、私はピクリと反応してしまった。

“いつもの”?

趣のある照明、しっとりと落ち着いた席。

案内されたテーブルは、奥まった窓際の、ちょっとだけ特別感のある場所だった。
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