誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
ダメだ、飲みすぎたかも。

でも、不思議と嫌な酔い方じゃない。

むしろ、ふわふわして心地いい。

(桐生部長に“お持ち帰り”される女子の気持ち……ちょっと、わかるかも)

あの低い声、柔らかな笑顔、ふと見せる大人の余裕。

あんなセクシーな人に酔わされたら——

それはもう、どうにでもなりたくなる。

なんてことを考えてしまった自分に、思わず顔を覆う。

「私、何言ってるんだろ……」

頬が熱いのは、きっとワインのせいだけじゃない。

このまま席に戻ったら、またきっと彼の笑顔に、簡単に心が傾いてしまう。

……でも、不思議とそれが嫌じゃなかった。

席に戻ると、ちょうどウェイターがトレーを手に立ち去るところだった。

「……お会計、されたんですか?」
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