私は16歳。先生は21歳。

先生、理由は?

キーコンカーコン
授業の始まるベルがなった。
個別指導塾といっても、先生:生徒=1:2だ。机2つの間に先生がいる形だ。

先生は隣の生徒に挨拶する。
「市原さん、こんにちはー」

ん?確か隣の子は「市原りか」だっけな…
なんで名字呼びなんだ?

私は、「一ノ瀬りんか」だけど名前呼びだよな。

隣の子の解説が終わり私の順番になった。

「改めてこんにちは。りんかちゃん」

私は軽く頷き、

「ねぇ先生?」

「ん?」

「黒崎先生って最初から私のこと、りんかちゃんっていうよね?」

「ああ、そうだね」

「なんで?普通先生って名字で呼ばない?」

「なんでもなにもないだろ笑嫌なのか?じゃあ、これから一ノ瀬さんで笑」

「嫌っ!なんかやだ!りんかちゃんがいい!」

「わかったよ笑」

また鼻で笑った。


今はテスト期間なので今日も塾の行く。
学校が終わったらそのまま塾に直行!

黎翔塾は建物の7階にあるので、私はちょうど1階で止まっていたエレベーターに乗り込んだ。

ドアが閉まるころ、若い男の人が駆け込んできた。
「すみませんっ」
走って疲れているようで、下を向いていて顔が見えない。でもなにか嗅ぎ覚えのある匂いがエレベーターを包む。

先生だ。そうだ。甘すぎない爽やかなカモミールの香り。絶対先生だ。
「先生?黒崎先生?」

「…え?あ、りんかちゃん!?やば、はっず笑」
「おはようございます!」受付の人に挨拶する。
「あら、今日も早いねーりんかちゃん」
「家に帰っても暇なので!」

嘘、本当は黒崎先生に一刻も早く空いたいのだからだ。
まって、これって…いやそんなことはない!
私は普通に先生として好き!…なんだよね…?

「あれ、りんかちゃん?」
「先生〜!おはよ!」
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