すべての花へそして君へ③

「皆様御機嫌よう」

「あら? もしかして朝日向様の……」

「葵と申します。どうぞお見知り置きください」

「此方こそ、宜しくお願い致しますわ」

「それでこの度は、お近付きの印に皆様お渡ししたいものが」

「「「渡したいもの……?」」」


 通話中のスマホを、ポケットに突っ込んで……っと。


「……あ、アオイちゃん? もしかして相当怒って――」

(たとえ理由があっても、やっていいこととそうでないことがあるのだ)

「……あ、あなたは!」

「探しましたわ!」

「はい。お探しだとお伺いしたものですから」


 カナデくんを彼女たちの中に放り込む。
 いろいろと文句その他を言っているようだが、それには聞く耳持たず。せいぜい自分の犯した罪を反省しなさい。んでもって、後々ユズちゃんに叱られなさい。

 ナンパ野郎、これにて撃退。


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