すべての花へそして君へ③
「それで? あおいちゃんとはどんなお話しをしたの? 聞かせて頂戴」
「……えっと」
「うん?」
「……あ、そうだ。オレお粥作ったんですけど、ちょっと……いや、だいぶ作り過ぎちゃって」
「あらそうなの。だったら少し取っておくわ。せっかくひなたくんが作ってくれたんだもの。捨てたらあおいちゃんに何て言われちゃうか」
「あと、また野菜届けてくれてありがとうございました。この間家族みんなで鍋して食べました」
「こちらこそ、今日も手土産ありがとね。手ぶらでいいって言ってるのに」
「これは、日頃の感謝も込めてですから」
「わたしたちも、ひなたくんにはいつも感謝してるのよ。だから、もう手土産なんていらないの。いつでも気軽に遊びに来て? わけはちゃんと察してるから、早く仲直りしてあげてね?」
「……え、と」
俯いて、何か話題がないかと探したけれど、彼女は下から楽しそうに微笑んでオレを見上げていた。
「何か、いいことあったんでしょう?」
「……え?」
「それとも恥ずかしいことかしら」
「えっ」
「あら。……ふふ。気付いていないのね」
「え。な、なに。を」
そう言うと、彼女は嬉しそうに笑いながらオレの頬をつんと突いた。
――ひなたくん、ほっぺたも耳も、真っ赤なのよ?
それは勿論、ビンタを食らわす前から。愛おしそうに、眠る彼女を見ている時から。