男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される

「じゃあ、もし彼女が本当に魔女で、魔女だってことがバレたら?」
「処刑だろうな」
「!? な、何もそこまでしなくても!」
「あの女もそのくらい覚悟の上で城内に入り込んでいるのだろう。一体何を企んでいるのか……」

 ラディスは城の方を睨むように目を細めた。
 確かに、そんなリスクを負ってまで今聖女だと名乗り出てきた理由は気になる。

「……今は、どうしてるんだ?」
「相変わらずだ。与えられた部屋で優雅に過ごしている」

 きっと豪華な部屋なんだろうなと想像して、ふと思い出したのはあの夜のことだ。

「……あれから部屋に来たりとかは?」
「ない」

 それを聞いてちょっとだけホッとする。
 あの夜見てしまった光景を思い出すと、未だに胸がもやもやするのだ。

「俺の態度が気に食わなかったのだろう。最近はキアノスの奴にべったりだ。アイツは誰に対しても優しいからな」
「そこがいいんじゃないか。キアノス副長は」
「は?」

 キアノス副長と並ぶフェリーツィアを思い浮かべて、これまた絵になるふたりだなぁと思った。

(でも金髪同士だし、兄妹にも見えるかも?)
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