男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される
「私も見たかったな」
「お前もそのくらい出来るんじゃないか?」
「え、どうだろう。今度やってみようかな」
花を咲かせるなんて考えたこともなかった。
そして、私は一番気になっていたことを訊くことにした。
「彼女、魔女って可能性はないのか?」
するとラディスは頷いた。
「その可能性は俺も考えている。聖女以外で奇跡の力を持つ者がいるとしたら魔女しかいないからな」
「やっぱり!」
興奮を覚える。
彼女がもし本当に魔女なのだとしたらその力をこの目で見てみたい!
そして俄然、彼女と話してみたくなった。
でもなぜかラディスは呆れ顔だ。
「なんで嬉しそうなんだ」
「だって魔女だろ? 私のいた世界じゃ魔女ってのは、なんというか、女の子の憧れみたいなもんで」
「魔女が憧れ?」
ラディスが眉を寄せ、短く息を吐いた。
「異世界とはこうも違うものか」
「え?」
「この世界で魔女は忌避される存在だ」
「忌避……?」
「そう。恐れられ疎まれている。聖女とは真逆の存在だ」
それを聞いて私はショックを受ける。
でも、よく考えたら向こうの世界でもひと昔前まで「魔女」とはそういう存在だったのだ。
私は昔習った「魔女狩り」という言葉を思い出していた。