男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される
男装聖女と新たな不安 3
ザフィーリから再び呼び出しが掛かったのはその翌日の昼のことだった。
「昨日は色々と無理を言ってすまなかったね」
昨日と同じ人気のない寄宿舎裏でいきなり謝罪されて、また何を言われるかとビクビクしていた私は驚いた。
(まさか、あのザフィーリから謝られる日が来るなんて)
ラディスが彼にどういう話をしたかはわからないが、余程堪えたのだろう。
罪悪感を覚えるが、トーラとしては知らないふりをしなくてはならない。
「いや。それで、会えたのか? 妹と」
「ああ、会えたよ」
「そうか、良かったじゃないか」
「でも、僕の気持ちは受け取ってもらえなかった」
そうして彼は目を伏せた。
「そ、そうだったのか……」
あの後、彼が宿に行ったのかどうか私にはわからない。でも。
「悪かったな」
そんな謝罪の言葉が口を突いて出ていた。