男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される
男装聖女と魔女 2
まず元の女の姿に戻る。
キアノス副長の前だが、深く眠っているようだし今はそんなことを気にしている場合ではない。
他人の身体を治したことはまだないけれど、きっとラディスと空を飛ぶのと同じ要領で身体のどこかに触れていれば行ける気がした。
「っ!」
キアノス副長の手に触れて、その冷たさに驚く。
(呪い)
その言葉を心の中で反芻してぞくりとした。
これが本当にあの彼女がかけた「呪い」なのだとしたら、なんて恐ろしい力だろう。
ラディスが前に魔女は忌避される存在だと言っていた意味がわかった気がした。
……私に治せるだろうか。
知らず、ごくりと喉が鳴っていた。
(でも、やってみるしかない……!)
ラディスが見守る中、私は深呼吸ひとつして目を瞑った。
( 呪いよ、消えろ )
いつものように、でもいつもよりも強く念じる。
すると、頭の中にぼんやりとイメージが浮かんできた。