男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される
「凄い……」
そんな感嘆の呟きが聞こえて、私は傍らを振り向きにっと笑う。
「なんとかなったみたいだな」
「あ、あぁ。ありがとう」
驚きと安堵が織り交ざったような顔をしたラディスに感謝され嬉しくなった。
――しかし。
「……あ、あれ?」
「おいっ!?」
ベッドから離れようとして、ふらりと急に貧血を起こしたように目の前が真っ暗になり危うく倒れそうになったところをラディスに支えられた。
「大丈夫か?」
「……う、うん」
頭を振って何度か瞬きをすると視界がちゃんと戻ってきた。
自分でも驚いた。
他人の身体を治すのは、もしかしたら結構力を消耗するものなのかもしれない。それとも。
「呪いを打ち消したんだ。相当な力を使ったんだろう。少し横になるか?」
心配そうなラディスに私は笑いかける。
「いや、大丈夫……」
そう言いながら自力で立とうとして、しかしやっぱり足元が少しふらついてしまった。――と。
「うわっ!?」
いきなりラディスに抱えられてびっくりする。