男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される

男装聖女は感謝される 2


「なんで王様がオレなんかに!?」

 ラディスの後について城内の初めて立ち入る廊下を足早に進みながら私は小声で訊く。

「王陛下もお前に直接感謝の言葉をおくりたいのだそうだ。だが……」
「だが?」
「……すまない。俺もそれ以上のことは聞いていない」

 なんだかラディスも困惑している様子だ。
 
(それにしても広いな)

 初めて入る本当の意味での城内は全てのものが大きく、まさに豪華絢爛。
 今歩いている廊下など、この場所で舞踏会が開けそうなくらいの広さがある。
 壁や天井の装飾も隅々まで手が込んでいて、時間があればゆっくりと見て回りたいところだが、先輩騎士も含め使用人があちこちにいて、そんな皆の視線を感じて落ち着かなかった。

「――あ。そういえば王様は呪い平気だったのか?」
「ああ。聖女と言えど、陛下には容易にはお会いできないからな」
「なら良かったけど……」

 なのに私みたいな見習いが会ってしまっていいのだろうか。

 と、ラディスはとある部屋の前で足を止めた。

「一先ず、お前にはここで謁見用の正装に着替えてもらう」

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