男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される
そんなふたりの会話を聞いていて、ふと気づく。
「そういえば、魔女の行き先に心当たりはあるんですか?」
私が訊くと、ラディスは答えてくれた。
「噂の域を出ないが、魔女が住むと伝わる森がある。先ずはそこへ向かうつもりだ」
(魔女が住む森……)
不謹慎だが、それを聞いてなんだか少しワクワクしてしまった。
「お前はいつでも出られるよう準備をしておいてくれ」
「わかりました!」
私はびしっと背筋を伸ばし答えた。
まだ見習いとは言え、国王陛下から直々に賜った騎士としての初任務だ。
正直、めちゃくちゃ気分が高揚していた。
(絶対に見つけ出してやるからな。待ってろよ、フェリーツィア!)
「魔女の捜索隊に、お前が!?」
イリアスがぎょっとした顔をした。
ラディスから出発前に腹ごしらえをしておけと言われ、いつもよりも早い時間に食堂に行くとそこで偶然イリアスと一緒になったのだ。
私はパンを齧りながら頷く。
「そういうことになった」