男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される
思わず悲鳴のような声が出てしまった。
いくら敵対している国とは言え、流石にそれは酷いと思ってしまった。
戦争とはそういうものなのかもしれないけれど……。
と、ラディスが険しい顔で続けた。
「俺たちもそんな卑怯な真似はしたくない。だから、まずはあの魔女を捜し出し、その目的をはっきりさせる方が先決だと進言していた」
それを聞いて、ラディスもそんな酷いことはしたくないのだと少しホッとした。
「だが、またお前を巻き込むことになってしまった」
申し訳なさそうに言われ、私は首を振る。
「わた……いえ、オレは大丈夫です。足手まといにはなってしまうかもしれませんが、団長が一緒なら安心ですし。それに、オレも彼女には腹が立ってるんで」
笑顔で言うと、キアノス副長は可笑しそうに笑った。
「頼もしいじゃないか。それで、他のメンバーはどうするんだい?」
「目立ってはマズイ。少人数に越したことはないが……早急に決めねばな」