男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される

 ベッドまで連れて行かれて優しく下ろされる。

「ラディ、っ」

 そのまま彼は私の額にキスを落とした。
 ちゅ、と音を立ててそれはすぐに離れて。

「ありがとう」
「え?」

 ラディスが優しく微笑んでいた。

「この世界を選んでくれてありがとう。藤花」

 私は目を見開く。

 ――そうか。
 ラディスはずっと不安だったのかもしれない。
 異世界から来た私が、いつか帰ってしまうのではないかと。

 私が迷っている間もずっと、不安だったのかもしれない。

 そう思ったら、たまらなくなった。

「藤花?」

 両手を伸ばして、彼を強く抱きしめていた。

「ごめん、私、自分のことしか考えてなくて」

 突然謝られて戸惑っている様子の彼を見上げ、私は言う。

「私、ずっとここにいる。ラディスがいるこの世界に、ずっといるから」
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