男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される
廊下に立つラディスの姿を見て、私は跳ね起きすぐに駆け寄った。
「どうなったんだ……っ!」
訊きながらイリアスの隣に並んで、ぎくりとする。
ラディスが騎士の鎧を身に纏っていたからだ。
厳しい顔つきで、ラディスが答える。
「俺もバラノスへ向かうことになった」
私は息を呑む。
「これからすぐに出る」
ラディスも、バラノス侵攻に……?
「――お、オレは」
思わずそう訊ねていた。答えはわかっているのに。
「お前は城で待機」
案の定、ラディスはそう短く答えた。
――わかっている。
今の私では確実に足手まといになるだろう。
わかってはいるけれど、騎士団長の顔で冷たく即答されて唇を噛む。
(……でも、私にも出来ることがある)
ぐっと拳を握り、その顔を睨むように見上げる。