男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される

「やっぱこれ以上は無理かなあ」

 一瞬、頭が真っ白になる。

 何か言おうと口を開けて、でもその顔を見てもう何を言ってもイリアスの心は決まっているのだとわかってしまって。

「もういい! 寝る!」

 私はイリアスに背を向け寝転がった。

「トーラ、俺は……」

 イリアスもそんな私に何か言おうとしたけれど、それ以上は続けなかった。
 そしてそのまま横になったのが気配でわかった。

(なんだよ! イリアスの馬鹿野郎……っ!)

 無理という言葉が胸に深く突き刺さって、いつまでもズキズキと痛かった。



 ノックの音で浅い眠りにいた私はハッと目を開けた。
 全然眠れないと思ったけれど、やはり身体は疲れていたのかいつの間にか眠っていたらしい。
 窓の向こうがうっすらと白んでいて夜明けが近いのだとわかった。

「はい」

 見れば、いつも寝起きの悪いイリアスがドアを開けていて。

「ラディス!」
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