欲望のシーツに沈む夜~50のベッドの記憶~
3、部長の失恋と、年下部下の甘い牙

失恋の夜、ひとりにしません

その日は、最悪の一日になってしまった。

週明けの会議が終わった瞬間だった。

「皆さんにご報告があります」と、私の“好きな人”が立ち上がった。

その瞬間、胸がざわついたのを覚えている。

もしかして、昇進の話? 違っていてほしかった――けれど。

「僕、結婚します。相手は、受付の七瀬さんです。」

受付の、あの超美人。誰もが振り返る、モデルのようなスタイルと笑顔の持ち主。

彼女と、彼が――。

頭が真っ白になった。でも私は部長。

「おめでとうございます」

誰よりも先に、そう口に出していた。

「ありがとう、朝比奈」

照れたように笑って返される。

それすら優しさで、だからこそ、苦しかった。

会議室は拍手と祝福ムードに包まれていく。

私は、ただその場に立ち尽くしていた。
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