欲望のシーツに沈む夜~50のベッドの記憶~
獣の顔、知っていますか?
「ここ、個室じゃないと落ち着かないでしょ」
連れて来られたのは、ちょっと洒落たダイニングバーだった。
個室のソファ席に案内され、私はそっとため息をついた。
正直、まだ気持ちの整理はついていない。
けれど、陸の前では自然と力が抜けていた。
彼は変に気を遣わず、いつも通りでいてくれる。
「部長、お酒強いですよね。何飲みます?」
「今日は……軽くでいいわ。」
軽く。あくまで“残念会”。それ以上でもそれ以下でもない。
そんなつもりで、グラスを交わした。
けれど、どこかいつもと違った。
彼の視線はまっすぐで、何度も私の瞳を射抜いてくる。
冗談を飛ばして笑い合いながらも、ふとした間に熱が潜んでいた。
「……私、今日さ、振られたの。」
ぽつりとこぼした言葉に、グラスの中の氷が揺れた。
陸は返事をしないまま、少しだけ身を乗り出した。
連れて来られたのは、ちょっと洒落たダイニングバーだった。
個室のソファ席に案内され、私はそっとため息をついた。
正直、まだ気持ちの整理はついていない。
けれど、陸の前では自然と力が抜けていた。
彼は変に気を遣わず、いつも通りでいてくれる。
「部長、お酒強いですよね。何飲みます?」
「今日は……軽くでいいわ。」
軽く。あくまで“残念会”。それ以上でもそれ以下でもない。
そんなつもりで、グラスを交わした。
けれど、どこかいつもと違った。
彼の視線はまっすぐで、何度も私の瞳を射抜いてくる。
冗談を飛ばして笑い合いながらも、ふとした間に熱が潜んでいた。
「……私、今日さ、振られたの。」
ぽつりとこぼした言葉に、グラスの中の氷が揺れた。
陸は返事をしないまま、少しだけ身を乗り出した。