欲望のシーツに沈む夜~50のベッドの記憶~
後ろから、ぎゅっと強く、抱きしめられる。

「……俺のこと、そんなに軽いと思ってたんですか?」

低く落ちた声の直後、熱い唇が私のそれを塞いだ。

驚くほど深く、強く、まっすぐなキス。

その熱に、私はもう――逃げられなかった。

そして、優しく押し倒される。

ベッドに沈んだ身体の上に、彼の体温が重なる。

少しずつ、ゆっくりと――私の服が脱がされていく。

指先が、シャツのボタンを一つひとつ外しながら、肌の温度を確かめるように触れるたび、胸が甘く痺れた。

「……俺、ずっと我慢してた。」

低く震える声に、ドキリとする。

「えっ……?」

「でも、もうダメ。玲奈さんを抱きたい衝動を……抑えきれない。」

息が詰まりそうになった。

この想いは、私だけじゃなかったんだ。

嬉しさと戸惑いと、止まらない鼓動が、全身に巡っていく。

吐息が混ざる。

肌が混ざり合う。

お互いの鼓動が、同じリズムを刻み始める。
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