欲望のシーツに沈む夜~50のベッドの記憶~
そして、乗り込んだのは片瀬君の車。私は当たり前のように助手席へ。

シートベルトを締めながら言う。

「あのさ、片瀬君……」

話しかけた瞬間、顔が近づき、唇を奪われた。

「んっ……!」

唐突なキスに驚く暇もなかった。

「……もう、我慢できないんだよ、俺。」

熱を帯びた声が耳に残る。

まさか、あの頼れる営業マン・片瀬悠が、私にこんなにも――?

「今夜、空いてる?」

「ええ⁉」思わず声が裏返った。

“昨夜”の次に、“今夜”もって……そんなに⁉

戸惑う私をよそに、彼は真剣な目で見つめてくる。

「玲奈……ずっと一緒にいよう。」

それは、同僚として? それとも、男と女として?

私はとっさに言葉を濁す。

「うん。……外回りだからね。」

その瞬間、片瀬君は目に見えてがくっと肩を落とした。

「……そっちの“一緒”か……」

落ち込む彼を見て、思わず吹き出しそうになった。
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