欲望のシーツに沈む夜~50のベッドの記憶~
5、終電を逃した夜、ベッドの隅で

終電を逃した夜

今日は久しぶりに、幼馴染み同士で集まっての飲み会だった。

駅前の居酒屋の一角には、懐かしい顔ぶれが揃い、その中に——高峰 蓮の姿もあった。

子供の頃、密かに想いを寄せていた彼。

少しだけ大人びたその横顔は、あの頃よりずっとかっこよくなっていて、私は思わず見とれてしまう。

「おまえ、いつものカシオレでいい?」

「……うん。」

笑いながら聞いてくるその声も、変わっていなかった。

——この関係、ずっとこうなんだろうな。

たまに会って、笑って、昔話をして。

でも、“幼馴染”のまま。そこからは一歩も進めない。

「ん?どうした?」

「ううん。……ねえ、蓮ってさ、今彼女いるの?」

ふと気になって、勢いで聞いてしまった。

「いないよ。」

あっさりとした答えに、思わず驚く。

「……うそっ! だって、蓮って……」

——かっこいいのに。

その言葉は、ギリギリで飲み込んだ。
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