私の中にあるモノ
近江ムライカが、死にかけている。
彼女は最近ずっと、シンクロ率の低下悩まされていた。
それでも彼女は、必死に毎日訓練を繰り返し、シンクロ率の上昇を試みた。
けれど…最早、それは焼け石に水だった。
ついに近江さんは倒れ、この病棟フロアに運び込まれた。
病棟フロアに来てから、近江さんは力を失ったように、急速に衰弱した。
シンクロ率も下がり続け、ついに限界値を下回った…。
既に、今日明日の命にまで追い詰められている。
…ムダナちゃんは、シンクロ率の低下に伴って、声を失ってしまったそうだが。
それでも、彼女は自分の足で立ち、歩くことが出来ていた。
一方近江さんは、歩けなくなる代わりに、声はまだ失われていないようだ。
…きっとそれも、長くは続かないだろうが。
「あんた…。何をしに来たのよ…」
「…近江さんに会いに来たんだよ」
「…何よ…。…近江『さん』なんて、かしこまった呼び方して…。…馬鹿にしてるの…」
「…そういう、訳じゃないけど」
記憶を失う前の私は、近江さんをもっと気楽に呼んでたのかな。
「あぁ…。…そうか、あんた…また、記憶をなくしたんですって…?」
「…うん」
「ふん…またなの?あんたって、本当に使えないわね…」
「…うん」
「…否定しなさいよ。本当に、馬鹿ね…」
否定なんて出来ないよ。
私が馬鹿なのは、事実だもん。
近江さんのこと…友達だったはずの彼女のことさえ、忘れてしまったのだから。
「こんなところで…油を売ってる暇なんて、ないはずでしょ…。訓練に行きなさいよ…」
「…行かないよ」
今は、近江さんに会いに来てるんだから。
「…シンクロ率が上がってるからって、油断して…。図に乗ってると、あんたもいつか…」
「…」
「…ふん…。今の私が何を言っても、あんたにとっては滑稽でしかないわよね…」
…そんなことはないよ。
近江さんは、こんなに一生懸命生きてるのに…。
滑稽なんて…思うはずがないじゃない。
「近江さん…。…ごめんね。私、あなたと友達だったんだよね…?」
此代が言ってた。
私はよく、近江さんと話してたって。
話してたって言うか…一方的に、近江さんに絡まれてた、って感じだったらしいけど。
でも、親しかった事実に変わりはない。でしょう?
それなのに私は、そんな大事なことさえ忘れてしまった。
此代が教えてくれるまで、近江さんがここまで差し迫った状態になっていることさえ、知らなかった。
知らないまま、終わってしまうところだった。
…そうならなくて良かった。
言葉を交わせるうちに、ちゃんと話が出来るのだから。
…しかし。
「冗談言わないでよ…。誰が、あんたなんかと友達に…」
「でも、私達はよく話してたって、此代が言ってたよ」
「話してなんか、ないわよ…。あんたなんて…顔を見てるだけで、イライラするわ…」
「…」
…そっか。
それは…なんて言うか、ごめんね。…こんな顔で。
彼女は最近ずっと、シンクロ率の低下悩まされていた。
それでも彼女は、必死に毎日訓練を繰り返し、シンクロ率の上昇を試みた。
けれど…最早、それは焼け石に水だった。
ついに近江さんは倒れ、この病棟フロアに運び込まれた。
病棟フロアに来てから、近江さんは力を失ったように、急速に衰弱した。
シンクロ率も下がり続け、ついに限界値を下回った…。
既に、今日明日の命にまで追い詰められている。
…ムダナちゃんは、シンクロ率の低下に伴って、声を失ってしまったそうだが。
それでも、彼女は自分の足で立ち、歩くことが出来ていた。
一方近江さんは、歩けなくなる代わりに、声はまだ失われていないようだ。
…きっとそれも、長くは続かないだろうが。
「あんた…。何をしに来たのよ…」
「…近江さんに会いに来たんだよ」
「…何よ…。…近江『さん』なんて、かしこまった呼び方して…。…馬鹿にしてるの…」
「…そういう、訳じゃないけど」
記憶を失う前の私は、近江さんをもっと気楽に呼んでたのかな。
「あぁ…。…そうか、あんた…また、記憶をなくしたんですって…?」
「…うん」
「ふん…またなの?あんたって、本当に使えないわね…」
「…うん」
「…否定しなさいよ。本当に、馬鹿ね…」
否定なんて出来ないよ。
私が馬鹿なのは、事実だもん。
近江さんのこと…友達だったはずの彼女のことさえ、忘れてしまったのだから。
「こんなところで…油を売ってる暇なんて、ないはずでしょ…。訓練に行きなさいよ…」
「…行かないよ」
今は、近江さんに会いに来てるんだから。
「…シンクロ率が上がってるからって、油断して…。図に乗ってると、あんたもいつか…」
「…」
「…ふん…。今の私が何を言っても、あんたにとっては滑稽でしかないわよね…」
…そんなことはないよ。
近江さんは、こんなに一生懸命生きてるのに…。
滑稽なんて…思うはずがないじゃない。
「近江さん…。…ごめんね。私、あなたと友達だったんだよね…?」
此代が言ってた。
私はよく、近江さんと話してたって。
話してたって言うか…一方的に、近江さんに絡まれてた、って感じだったらしいけど。
でも、親しかった事実に変わりはない。でしょう?
それなのに私は、そんな大事なことさえ忘れてしまった。
此代が教えてくれるまで、近江さんがここまで差し迫った状態になっていることさえ、知らなかった。
知らないまま、終わってしまうところだった。
…そうならなくて良かった。
言葉を交わせるうちに、ちゃんと話が出来るのだから。
…しかし。
「冗談言わないでよ…。誰が、あんたなんかと友達に…」
「でも、私達はよく話してたって、此代が言ってたよ」
「話してなんか、ないわよ…。あんたなんて…顔を見てるだけで、イライラするわ…」
「…」
…そっか。
それは…なんて言うか、ごめんね。…こんな顔で。