私の中にあるモノ
成程。

…否定はしないのね。

笑い出さないのね。「何?その作り話」とは言わないのね。

その反応だけで分かる。

この人は…この人達は、私に大事なことを隠している。

「あなた達は…本当に、なんて愚かなことを…」

「…皆宮さん。ごめんなさい、それは違うわ」

…違う?

「竜族は滅びたわ。竜人研究所にも、何処にも生きていない。本当よ」

「…」

今更そんなこと言って、信じられるとでも?

「…それなら、6階には一体何があるの?」

「6階にあるのは…。…とても大事なものよ」

篠森さんは、微笑みながらそう答えた。

「…大事なもの…」

「そう。とても大事なもの…。竜人研究に決して欠かせない、とても大切なものなの」

「…」

「…とはいえ、私でさえ、見たことはないのよ」

え?

「篠森さんでも…見たことがないの?」

「えぇ…。6階の入り口には、生体認証式のロックがかかっていて…。その鍵を開けられるのは、山口教授や、一部の職員だけよ」

篠森さんは、その選ばれた職員のうちに入ってないのね。

だから、まだ見たことがない。

だけど、その存在だけは知っている…。

「ごめんなさいね、皆宮さん…。私の口から話せるのは、ここまでよ」

申し訳なさそうな顔をして、篠森さんは謝った。

「…ううん。もういい」

もう、充分だよ。

頭の中にかかったモヤが、疼くように、存在を主張していた。

昔の竜人研究。

6階。

大事なもの…。

様々なパーツが、私の頭の中で固まってはほどけ、ほどけては、また固まって。

それを繰り返して、少しずつ像を結んでいった。
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