聖女の愛した花園

 そうして何とか上手く誤魔化して溶け込みつつ、女子校ライフを謳歌した。何人かから告白されたりラブレターをもらうこともあった。女子校だと本当にこんなことがあるのかと思いつつ、彼女たちは自分の本当の性別を知ったらどう思うのだろう。きっと汚らわしいと嫌悪感を示すに違いない。

 何年女として過ごしても、性自認が男であることには変わりない。母に言われてずっと伸ばしているこのロングヘアは本当は短く切りたい。たまに見かける他校の野球部員の坊主頭を羨ましいと思うことすらある。本当はスカートなんて履きたくない。男として生きることは自分にとって困難なのだと自覚しながら、時折どうしても夢見てしまう。そしてどうしようもなく願ってしまう、母が息子として受け入れてくれることを。そんなことは叶わぬ夢でしかないのに。

 *

 高等部に上がると、上級生から「私の妹にならないか」と誘われることが多くなった。二年になると今度は一年生から「私を妹にしてください」と頼まれることが増える。リリスには奇妙な制度があるものだ。

「渚は妹を取らないの?」

 そう聞く蘭華は最近妹を迎えたばかりだった。

「私はいいかな。一人で好きにやりたいしね」
「そう、残念ね。あなたの妹になりたい一年生は多いでしょうに」
「そういう蘭華は妹とどうなの?」
「流奈は優秀よ。さゆりの妹の透にも負けてないわ」

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