聖女の愛した花園
「さゆり、うちの話を聞いてくれる?」
私は姫宮の呪いの話をした。迷信深い一族で未だに双子は忌み子だとしており、更に男児は呪われているとされていること。自分がその呪われた男児だということ。
「えっ……どういうこと?」
「私は本当は男なんだ。母は未だに私のことを亡くなった姉だと思い込んでいるけれど」
私は自分の生い立ちを嘘偽りなく話した。さゆりはとても驚いていたが、黙って私の話を聞いてくれた。やがて大粒の涙を流してくれた。
「渚が……そんなにつらい思いをしていたなんて」
「もう慣れたと思っていたけど、まだ母の中に自分はいないんだと思って……」
「渚……」
さゆりは私を抱きしめてくれた。この話をすれば同情してくれると思ったから話したが、いつの間にか自分の目にも涙が溢れていたことに驚いた。どうやら自分は、誰かに聞いてもらいたかったらしい。しばらく私たちは互いをきつく抱きしめ合っていた。
「私もね、家族仲は良くないの」
「あんなに仲良さそうに見えるのに?」
「あれは取材用だから。本当は父も母も愛人がいるのよ」
さゆりは寂しそうに笑う。その切ない笑顔が愛おしくてたまらなかった。