聖女の愛した花園


 嫌だ、さゆりは僕のものだ。誰にも触れさせたくない、他の男にもこの学院にいる令嬢たちにも。初めは聖女と崇められる彼女を自分が穢していることに優越感すら覚えていたが、今はさゆりに触れる度に切なくて苦しくて壊してしまいたくなる。彼女を僕だけのものにするためには――。

 *

 その後、いつものようにさゆりの部屋を訪れると妊娠検査薬を見せられた。そこには二本線がくっきりと表示されていた。

「ピルは飲んだはずだけど、絶対ではないのね……」

 その言葉に胸が痛む。ピルだと言って飲ませたものはただのビタミン剤だったから。

「ごめん、さゆり。その、どうするの?」
「浬はどうして欲しい?」
「……産んで欲しい」

 自分の一方的な独占欲が暴走した結果、さゆりの意思も確認せずにこうなってしまったことを今更ながらに後悔した。なんて自分は愚かで最低なのだろうと思った。さゆりの顔が見られないでいると、彼女はそっと僕の手に触れる。

「良かった。私も産みたいと思っていたから」
「さゆり……」
「大丈夫よ」

 微笑むさゆりを抱きしめた。自分の犯した罪を一生償うつもりで彼女とお腹の子を守ることを誓った。そして、母と向き合う覚悟も決めた。自分はもう母の望むようには生きられない。たとえ母を壊すことになってしまったとしても、これ以上自分を偽って生きることはできない。

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