聖女の愛した花園
さゆりは白雪家から一人メイドを呼んだ。幼少期からさゆりの世話をしてきた養母のような存在だという。そんな相手に妊娠したことは話したが、父親が誰なのかは明かさなかった。メイドは何度も尋ねたらしいが、頑なに口を割らなかった。私もメイドとの接触には気をつけた。透などはメイドの姿を見つけるとさゆりの様子を聞きたがったが、私はなるべく避けた。さゆりに会いに行く時もメイドや他の生徒と鉢合わせないように細心の注意を払った。
「両親には話した?」
「いずれは話すわ」
「まさか黙って産むつもり?」
「今話せば白雪の体裁を気にして堕ろせと言う可能性がある。どうせ私に興味ないんだし、事後報告でいいわよ」
「本当に大丈夫なの?」
「大丈夫、メイドの母親が助産師さんだから出産の時は助けてもらうつもり。彼女は信頼できるし、大丈夫よ」
そう言って笑うさゆりを強く抱きしめる。
「何かあったら言って。できる限りのことはするから」
「ありがとう」
「それから、さゆり」
「言わないで」
さゆりは言いかけた僕の唇に人差し指を当てた。
「これは私が自分で決めたことなの」
「さゆり……」