聖女の愛した花園


 専務だった叔父の裏切りが発覚したこと。叔父は秘密裏に海外企業との業務提携を結んでいたそうなのです。新たな企業を立ち上げ、乙木家具の社員の過半数を引き抜いてしまいました。叔父は乙木家具を潰そうと目論んでいたのです。乙木家具は破産寸前まで追い込まれました。先代から守り抜いてきた乙木家具を自分の代で潰すわけにはいかないと、必死にもがいてきたけれどもう限界だ。長きに渡って愛された乙木家具を自分の代で潰して申し訳ない。震える文字で綴られていました。

 二人とも一命は取り留めましたが、昏睡状態でした。目を覚ますことがあるのかどうなのか、私にはわかりません。
 遺書の最後に「佳乃子だけは生きて欲しい」と綴られていましたが、私だけが生きたところで一体どうすれば良いのでしょう?
 どうして私も道連れにしてくれなかったのでしょうか。

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