聖女の愛した花園


 お父さん、お母さん、ごめんなさい。生きて欲しいと言ったけれど、その約束は守れそうにありません。私はもう、生きているのがつらいんです。苦しくて苦しくて息が詰まりそうなんです。先に逝く親不孝者の娘を許してください――。

 足を踏み出そうとした直後、強い力に引っ張られて後ろに倒れ込みました。柔らかいものにぶつかり、甘くて優しい香りが鼻孔をくすぐりました。私を引っ張ったのは同じクラスの白雪さんでした。

「大丈夫!?」

 白雪さんは美しいお顔を歪め、心底私を心配なさっているように見えました。理解ができませんでした。

「お怪我はない?」
「……何故ですか?」
「え?」
「何故死なせてくださらないのですか?」

 じわりと涙が溢れ出てきました。

「生きていたって、仕方ないのに……っ」

 嗚咽を漏らしながら泣き叫ぶ私のことを白雪さんは抱きしめてくださいました。

「そんなこと言わないで。私はあなたがいなくなったら悲しい」
「悲しい……? どうしてあなたが?」
「クラスメイトですもの」

 クラスメイトなんて、ただ同じクラスにいるというだけの他人なのに。まともにお話したこともないのに、どうしてそんな風に言ってくださるのでしょう。

「私はあなたに生きていて欲しいし、友達になれたら嬉しいと思ってる」
「とも、だち……?」
「ええ、ダメかしら?」
「友達なんて、あなたにはたくさんいるでしょう?」


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