聖女の愛した花園
だってあなたは私とは正反対の人。あの白雪財閥のお嬢様で美人で誰もが羨み憧れる存在。みんなが白雪さんと仲良くなりたがるのに。
「私はあなたと友達になりたいの、佳乃子さん」
「う……っ」
誰かにそんな風に言っていただけたのは初めてでした。誰からも見向きもされない透明人間の私が、誰かの瞳に映ったのです。私は子どものように大声をあげて泣きじゃくりました。彼女は落ち着くまでずっと優しく抱きしめてくれました。
その後、乙木家具は白雪財閥の経営する白雪インテリアに吸収合併されることになりました。両親の治療費、入院費は白雪が負担してくださるそうです。だから私を助けてくれたのかさゆりさんに訊ねたら、彼女は首を横に振りました。
「合併の話は知らなかったわ。ただ私が佳乃子さんとお友達になりたかっただけよ」
「どうしてですか?」
「友達になるのに理由がいる?」
彼女はそう言って微笑まれました。
その時雷が落ちたような衝撃を受けました。こんなにも優しくて美しく、清らかな方は初めてだったからです。正に聖女そのものでした。彼女は暗黒の世界の中で差し込んだ一筋の光。私はやっと、自分の生きる希望を見つけられました――さゆりさまという存在を。