聖女の愛した花園
それから私の人生は薔薇色に変わりました。いえ、両親は未だに目覚めないのですから状況は変わりません。でも黒ずんでいた世界が薔薇色に変わったのです。だって私の隣にはさゆりさまがいてくださるのですもの。
さゆりさまは誰よりも気高い存在でありながら、何一つ鼻にかけることはしません。誰に対しても慈しみを持って接する姿は、マリア様そのものでした。神なんて存在しないと思っていたけれど、女神様は目の前にいらっしゃいました。さゆりさまは私を救ってくださった女神様なのです。
「ご機嫌よう、佳乃子」
無価値だと思っていた自分自身が、さゆりさまに選ばれたというだけで特別な存在だと思えました。私のことを腰巾着だの陰口を叩く者は多々いましたが、そんな声は全く気になりませんでした。皆私に嫉妬しているのでしょう。その優越感だけで私の心は満たされました。
「ご機嫌よう、さゆりさん」
「宿題終わった?」
「はい、だけど自信のない問題があって」
「後で一緒に答え合わせしましょう」
「はい、是非お願いします」
どんなに優越感に浸っても、私とさゆりさまは対等な存在ではないと自分に言い聞かせています。何故ならさゆりさまは神であり、私はただの人間だからです。私など女神のご加護をいただいている身。本来は隣に並び立つことなど恐れ多いのです。ですがさゆりさまは心優しいお方ですから、私なんかを親友だと仰ってくださいます。