聖女の愛した花園


 ああ、なんという甘美な響きなのでしょう!

 恐れ多いとは思うものの、この胸の高鳴りを止めることはできません。私は今、初めて息をしていると思えます。自分が存在しているのは、さゆりさまと出会うため。さゆりさまを心から愛し尊敬し、崇めることが私の生きる道だったのです。

 さゆりさまと親しくなって間もなく、笠吹蘭華さんという方が私たち――もといさゆりさまに話しかけてきました。笠吹メディカルグループという誰もが知る大企業のご令嬢で、ハーフのお顔立ちが華やかな方でした。

 笠吹さんは明らかに私を見て「邪魔だ」と言っておりました。何故私のような者がさゆりさまのお隣にいるのか気に入らないという思いが、視線にありありと出ておりました。皮肉を飛ばす笠吹さんに対し、さゆりさまはこう仰いました。

「蘭華、そんな言い方は良くないわ。私は佳乃子さんとお友達になれて嬉しいと思ってるのよ」

 友達。その響きに高揚しました。

「友達? 友達なんてなれるわけないじゃない」

 笠吹さんは吐き捨てて立ち去っていきました。さゆりさまは私に向かって「ごめんなさいね」と謝ってくださいましたが、とんでもないことでした。

「蘭華は幼なじみでずっと仲が良かったの。きっと話せばわかってくれるわ」


< 124 / 176 >

この作品をシェア

pagetop