聖女の愛した花園
透さんは色んなことに興味を持ち、一般的な女子高生のトレンドにも敏感でした。かと言って庶民というわけでは全くなく、雛森と言えば全員エリートの警察一家。透さんもかなり聡明かつ大胆な行動力を持ち合わせています。さゆりさまとはまた違ったカリスマ性に溢れた方でした。更に私とは違って愛嬌もある。私にないものをすべて手にする彼女のことが、羨ましくて妬ましくてたまりませんでした。
だから私も副寮長に立候補しました。控えめな私が自分から挙手したのは初めてでした。さゆりさまは驚かれましたが、とても喜んでくださいました。
「佳乃子が副寮長になってくれたらとても心強いわ」
「こんな私でも、お手伝いできるでしょうか」
「もちろんよ。とても嬉しい」
さゆりさまが喜んでくださると、心が満ち溢れて多幸感でいっぱいになります。私はさゆりさまのためなら何でもやろうと心に決めました。さゆりさまが望むのなら、この命を捧げても構わない。そんなことは絶対にあり得ないと承知ですが、さゆりさまに「死んでください」と言われたら喜んで死ぬでしょう。こんなに幸せな死はないと思える程です。
そもそも私はさゆりさまに救っていただいた命。飛び降りようとしていた私を助けてくださったその日から、私の命はさゆりさまのものなのです。