聖女の愛した花園

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 三年になってしばらくしてから、さゆりさまが体調を崩されました。寮から出られない程深刻なようで心配でたまりませんでしたが、お見舞いに行っても会ってくださいません。白雪家からメイドさんがお世話に来られて、何度かさゆりさまに会わせてくださいとお願いしましたが、頑なに拒まれてしまいます。それ程までにお身体が良くないのだと思うと心配で夜も寝られませんでした。毎日さゆりさまのご快復をお祈りしました。

 半年が過ぎてもさゆりさまが復帰されることはありませんでした。私はなんて無力なのでしょう。さゆりさまは私を救ってくださったのに、私はさゆりさまがおつらいときに何もできないのです。無力な自分のことが歯痒くて仕方ありませんでした。

 ですが、ついにさゆりさまからお手紙が届いたのです。美しい達筆な文字でこう綴られていました。

「乙木佳乃子さま
 大事なお話がございます。明日(みょうにち)十四時頃に寮長室までお越しいただけますでしょうか。
 白雪さゆり」

 こんなお手紙をいただいて行かないわけにはまいりません。半年ぶりにさゆりさまのお顔が拝見できるのだと胸を躍らせながら、大事な話とは何だろうと考えました。もしかして大きな病を患っておられるのだとしたら――私の血液も臓器もすべてを捧げてでもお救いしたいと思いました。


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