聖女の愛した花園
翌日の午後は課外授業でしたが欠席しました。午前中からずっとソワソワして落ち着きませんでした。十四時、やや緊張しながら寮長室のドアをノックしました。
「どうぞ」
その一言だけでも鈴の音を転がすような響きに胸が高鳴りました。
「さゆりさん、佳乃子です」
「お入りになって」
私はゆっくりとドアを開けて聖域に足を踏み入れました。
「お久しぶりね」
そう微笑んださゆりさまは、相変わらず神秘的な美しさを纏っておられました。思っていたよりも血色が良く明るいお顔をされていました。ですが、半年前とは明らかに違うことにすぐに気がつきました。
「え……さゆりさん……?」
さゆりさまのお腹が大きく膨らんでいたのです。太ったとは違い、お腹だけが出っ張っています。私は訳がわからなくて、思考停止してしまいました。
「佳乃子には話しておきたいと思って。今、このお腹の中に赤ちゃんがいるの」
オナカノナカニアカチャンガイルノ?
さゆりさまの仰る意味が全く理解できません。
「臨月でもう間もなく産まれるかもしれない。卒業する前にこの学院を去ることになるかもしれないから、親友の佳乃子にはきちんと話しておきたいと思ったの」
そう言ってさゆりさまは私に頭を下げました。
「今まで黙っていてごめんなさい」
私はどうしても目の前で起きていることへの理解ができませんでした。