聖女の愛した花園
さゆりさまのお腹に赤ちゃんがいる? 妊娠しているということ?
そんなこと、あり得るはずがない。だってさゆりさまは女神なんですもの。懐妊するなんてそんな馬鹿なこと、あり得ないに決まっている。
そのとき私の脳裏にある言葉が過ぎりました。
「あはっ、そうか。そうだったのですね!」
さゆりさまは処女受胎なさったんだ。処女でありながら神の子をその身に宿した聖母マリアのように。さゆりさまは本物の聖女様になったんだ!
「処女受胎なさったのですよね? さゆりさま」
「えっ」
「だってそうでしょう? それしか考えられません」
「……違うわ。このお腹の子は、私の大切な彼との子よ」
さゆりさまは愛おしそうにお腹を撫でる。
「今は彼のことは話せないけど、ちゃんと佳乃子には紹介したいと思ってる」
「な、何を言っているのですか」
彼って誰? そんなひと、存在しない。私は知らない。だってさゆりさまは聖女だもの。完璧で崇高なる女神様なの。だから、あり得ない。
「私のことからかっているんですよね? だって、そんなこと、あり得ないです」
「私が佳乃子をからかうと思う?」
「違うのですか……? 違うなら、」
処女受胎でないのなら――男と交わって懐妊したということ?
「……ごめんなさい」
「なんで、何故ですか? なんで……っ」