聖女の愛した花園


 あり得ない、あり得ない、あり得ない。さゆりさまに男がいた?
 リリスという花園の中で、密かにどこの馬の骨とも知れない男と通じ合っていたというの?

「あり得ないっ!」

 どんな花よりも美しく、神々しくて清らかなさゆりさまが穢されてしまった。あなたはどこまでも完璧で究極的な存在でなくてはならないのに、汚らわしい男との間に子どもをつくっていたなんて。

「そんなのさゆりさまじゃない! 悪夢、これは悪夢なのよ……」
「佳乃子……」
「こんなの違う……さゆりさまじゃない」

 私の愛した、優しくて慈悲深くて完璧な美しさを持つ聖女じゃない。心から愛して尊敬して崇めていた私の聖女(さゆりさま)はどこへいってしまったの――?

「佳乃子、ごめんね。私は、」
「いやあああああああっ」

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