聖女の愛した花園

 それからお腹の中の子どもも。得体の知れない男との子なんて悪魔も同然です、父親同様に消えていただきましょう。私は包丁を懐に隠し持つことにしました。

 それから焼却炉を動かしてリボンを燃やしました。誰かの足音が聞こえたので、足速に立ち去りました。焦っていたので予備のリボンを取りに行くことを忘れてしまいました。

 とりあえず先に赤ん坊を消そうと思ったのです。さゆりさまの美しいお体に巣食う悪魔をこの手で殺さねば。そう思って寮長室に戻り、腹を裂かれて血まみれになっていたさゆりさまを発見しました。そして裂かれた腹の中に赤ん坊はいませんでした。凄惨な現場と突如消えた赤ん坊に動揺し、思わず悲鳴をあげてしまいました。

 そうしたらまさか、私以外に四名もの人間が現れたのです。この中に赤ん坊を奪った人物、さゆりさまに男を当てがった裏切り者がいるかもしれない――私は憎しみの炎を内に秘め、動揺したフリをしながら裏切り者を炙り出そうと決意しました。

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