聖女の愛した花園


「さゆりさんは、私なんかと一緒にいて良いのですか?」

 たまに佳乃子は遠慮がちに私に訊ねる。

「さゆりさんとお友達になりたい人は他にもたくさんいるのに……」
「私が佳乃子と一緒にいたいのよ」

 そう言うと佳乃子は心底嬉しそうに微笑んでくれるから安心する。ああ、今回は間違えていないと思えるから。佳乃子の前では理想の“私”でいよう。今度こそ間違えないように。

 その後話しかけてきた蘭華は、人が変わったようだった。

「ご機嫌よう、さゆりさん。白百合寮長の妹になったそうね。負けないわよ、私もいつか寮長になるんだから」

 私をさゆりさんと他人行儀で呼び、挑戦的な視線を向けてきた。その後蘭華は本当に当時の黒薔薇寮長の妹だった二年生と姉妹の契りを結んだ。順当にいけば蘭華は黒薔薇寮長となるだろう。

「またあなたが学年一位? でも物理と生物学は私の方が上ね」
「そうね、流石だわ」
「次こそ絶対私が勝つんだから」

 事あるごとに蘭華は私と張り合うようになっていた。そんな私たちを周囲はライバル同士と認識していた。私はそれでも良かった、形は変わっても蘭華との繋がりが消えたわけではなかったから。蘭華はどうかわからないけれど、私はずっと蘭華のことが好きだった。私にどんな憎まれ口を叩こうとも、真っ直ぐ向かってきてくれる蘭華が好き。この気持ちは、きっと嘘じゃないはず。私はあなたのこと、愛せているかしら――?

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