聖女の愛した花園
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「紹介するわ、さゆりさん。筒見流奈、私の妹よ」
「ご機嫌よう、さゆりさま。蘭華お姉さまの妹となりました、筒見流奈と申します。よろしくお願いします」
二年に進級し、蘭華は流奈という妹を迎えた。
「初めまして。よろしく、流奈さん」
「流奈はとても優秀なの。外部からリリスを受験してきただけあって、とても頭が良くて視野が広くてよく気がつく子なのよ」
蘭華は鼻高々に妹を自慢していた。
「とんでもございません。尊敬するお姉さまのお力になりたいだけですわ」
「その上とても謙虚なの。素晴らしいでしょう?」
「ええ、本当に。私にも透という妹がいるの。同じ二年生同士仲良くしてくださると嬉しいわ」
「はい、もちろんです」
流奈は一歩引いて姉を立てる従順な妹だった。しかし自分の意見を言うべきところは意見し、きちんと自分の意志を持っている少女だった。そんな流奈を蘭華はいたく気に入り、とても可愛がっていた。
流奈はあまり私に直接話しかけてこない。幹部会で必要があれば話すこともあるが、事務的なこと以外は話しかけてこなかった。きっと蘭華に気を遣っているのだろうと、私も彼女との距離感には気をつけた。
だけどある時、ふと気づいてしまう。流奈が私を見る視線に、時折憎悪のようなものが滲んでいることに。