聖女の愛した花園
しかし、リリスは外部の者が立ち入るために厳重な手続きを要する。理子が私の元にやって来たのは連絡してから二日後のことだった。最初は久々の再会を喜び、理子の近況を聞いたりと雑談をした。それからいよいよ本題に入った。
「実はね、お腹の中に赤ちゃんがいるの」
「え……っ」
理子は明らかに動揺していた。常にメイドとして堂々たる態度を崩さない、あの理子が。
「……本当なのですか?」
「ええ、本当よ」
私は浬に見せた妊娠検査薬を理子にも見せた。二本線がくっきりと出ているそれを見て、理子は息を呑む。
「ど、どうして……まさか、教師が……お嬢様をこのようなっ!」
「違う、相手は言えないけど私が望んだことなの」
「え……?」
「私が、彼の子を産みたいと思ったの」
「ど、どうして……」
理子は今にも倒れそうだった。そんな彼女の両手を握りしめて懇願する。
「お願い、理子。このことは誰にも言わないでほしいの」
「そんなこと、できません……」
「お願い、あなたにしか頼れないのよ」
一瞬理子の瞳が揺らいだのを見逃さなかった。
「お父様とお母様には言わないで」
「そ、そんな……」
両親に話せば絶対に堕ろせと言われる。私が卒業したら、お父様が白雪財閥に見合った男性と婚約させようとしていることは知っている。浬も家柄は申し分ないけれど、女性と偽っていた彼のことをどう思うか。きっと引き裂かれるに決まっている。