聖女の愛した花園
「申し出は嬉しかったわ、ありがとう」
けれど透は諦めなかった。
「では、高等部でさゆりさまがもし寮長になることがありましたら、その時は私を妹にしてください」
とんでもないことを言い出すものだと面食らった。
「寮長は後継者を選ぶため必ず妹を選びますでしょう? もしさゆりさまが寮長になられたら妹選びは避けて通れません。その時再度申し込みに参ります」
「あなた、面白いことを仰るのね」
思わず笑みが溢れていた。
「私が寮長になるかどうかもわからないのに?」
「なれます。さゆりさまならきっとなれますわ」
透の自信に満ち溢れた真っ直ぐな瞳が眩しかった。彼女の言った通り、高等部に上がり次期寮長になった時は自分から透を妹に誘った。その時の嬉しそうな透の表情はとても可愛らしかった。
透はしっかりと自分というものを持っている。私に盲信的なところはあれど、自分なりの正義感を持っていてそれを貫く強さもある。いつか女性初の警視総監になるのだという夢を語ってくれた時は、とても輝いて見えた。他人の理想を生きる私とは違い、透はしっかりと自分の人生を生きている。それが私にとってどんなに眩しいことか。