聖女の愛した花園


 きっと透は私なんかいなくても、私以上に立派な寮長になれるだろう。それでも「お姉さま」と慕ってくれる透が可愛くて、透の理想の姉でありたいと思った。だから透には幻滅されたくない。ほとんどの人が本当の私を知ったら幻滅すると思うけれど。

 *

「さゆり、母に子どものことを打ち明けようと思う」

 浬とはほとんど毎日会っていた。理子に浬のことは秘密だから、理子が帰った後にひっそりと密会している。

「どうせ僕が家を継ぐことはできないし、いい加減母に現実を見てもらおうと思う」
「待って、話すのはあなたが卒業してからにしましょう」
「どうして? 卒業を待っていたら間に合わない」
「渚のまま卒業してあげた方がお母さまのためじゃないかと思うの」
「どういうこと?」
「黙っていれば誰にもばれないわ。大事にしないためにも渚として卒業して、お母さまにも渚を卒業してもらうの」

 リリスを卒業してしまえばもう渚として過ごす必要はない。あと数ヶ月のことだし無理にお母さまを刺激しない方が得策なんじゃないかと思った。

「それに多分私は卒業できないと思うから、浬にはきちんと卒業してもらいたい」
「さゆり……ごめん、さゆりにばかり負担をかけて僕は何もできない」

 そう言って浬は私を抱きしめる。

「ううん、浬がいてくれるだけでいいの」

 私は浬の背中に腕を回す。

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