聖女の愛した花園
いずれはきちんと話すし卒業したら浬のことも話したいと思ってはいたけれど、黙って消えるより先に本当のことを話した方がいいのではないかと思った。何より佳乃子は親友だ。一人で抱え込むのがしんどくて、誰かに聞いてもらいたい気持ちもあった。これが大きな過ちだとはこの時は気づかなかった。
私は佳乃子に手紙を認めた。その後もう一通手紙を書いた。理子に手紙を届けてもらうついでに買い物を頼んだので、その時間に浬と会った。やっぱり会っている時間は安心するし幸せだと思う。離れがたいと思う気持ちは、愛なのだろうか。
理子が戻って来てしまったので窓から浬を逃した。帰る直前、彼の耳元で「ごめんね」と囁く。浬は「どういうこと?」と訊ねたけれど私は微笑んだ。
誰にも秘密にするという約束だったのに破ろうとしていてごめんなさい。でもあなたの秘密は守るから許してね――。
「お嬢様、ただいま戻りました。どなたかいらっしゃったのですか?」
「お帰りなさい。いいえ、誰もいないわ」
「……本当に父親がどなたか話してくださらないのですか」
「ごめんね、理子」
理子には感謝している。それでもこの秘密だけは守り通したい。彼が無事に卒業するまでは。
それから翌日、十四時頃に佳乃子を呼び出した。理子には今日は調子が良いからたまには休んで欲しいと言って休日を与えた。
「さゆりさん、佳乃子です」
「お入りになって」