聖女の愛した花園


 佳乃子の声を聞くことも久しい。なんだか懐かしい気持ちになりながら佳乃子を迎え入れた。佳乃子はすぐに私の異変に気づいた。

「え……さゆりさん……?」
「驚かせてしまってごめんなさい。佳乃子には話しておきたいと思って。今、このお腹の中に赤ちゃんがいるの」

 佳乃子は呆然としていた。驚いているし戸惑ってもいるのだろう。私は誠意を持って伝えようとした。けれど――、

「処女受胎なさったのですよね? さゆりさま」
「えっ」
「だってそうでしょう? それしか考えられません」

 佳乃子の口から出た言葉に驚き、たじろいでしまう。

「……違うわ。このお腹の子は、私の大切な彼との子よ」

 そう告げた瞬間、佳乃子の表情がみるみるうちに変わっていく。

「あり得ないっ!」

 そう叫んだ時、私はまた“間違えた”のだと悟った。

「そんなのさゆりさまじゃない! 悪夢、これは悪夢なのよ……」
「佳乃子……」
「こんなの違う……さゆりさまじゃない」

 ブルブルと震えながら、叫んだりブツブツ呟いたり。尋常じゃない様子の佳乃子を見て、自分自身に失望した。どうして私はいつも大事な時に間違えてしまうのだろう。佳乃子にとっての私は、清らかな聖女そのものだったのに――。

「佳乃子、ごめんね。私は、」
「いやあああああああっ」

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