聖女の愛した花園

最終章【少女の遺した理想郷】



 あの後、筒見さんが警察に通報したことにより佳乃子さまの身柄は引き渡された。私たちは当然事情聴取を受けることになり、私は父に烈火の如く叱られた。右頬の痣は父に一発食らわされたものだ。この程度は覚悟していたので甘んじて受け入れた。

 笠吹さまも身柄を拘束されることになった。彼女は遺体損壊の容疑で取り調べを受けることになるだろう。でも彼女のおかげで赤ん坊は無事に産まれた。これは一人の幼い命を救った大きな功績だと思う。

 その赤ん坊はすぐに病院に運ばれた。命に別状はなく、ミルクも飲ませてもらって健やかに眠っているそうだ。それを聞いた姫宮さまは事情聴取で涙を流していたらしい。

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